久しぶりのブログ更新!(^^;
すごーーーくお待たせしてしまいましたが、
今日は、現在開催中の企画展について紹介したいと思います。
今年度の企画展では、
「胡堂の代表作『銭形平次捕物控』以外の作品も紹介しよう!」と思い、
前期は、歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」に影響を受け執筆した
時代小説『三万両五十三次』
そして後期は、胡堂が子ども達に向けて執筆した
科学と夢の小説『太郎の旅 月世界のたんけん』を取り上げ、
現在、企画展『胡堂が夢見た月世界~太郎の旅 月世界のたんけん~』を開催しています。
『太郎の旅 月世界たんけん』という小説は、
野村胡堂が執筆した子ども向け小説の第1作目です。
大正14(1925)年に、胡堂が勤めていた報知新聞社の連載小説として発表され、
翌年の大正15(1926)年、単行本として子供の科学社から出版されました。
ちなみに・・・
『銭形平次捕物控』は昭和6年(1931年)に発表されたので、
『太郎の旅 月世界のたんけん』は、銭形平次よりも前に発表された作品です。
胡堂が執筆した小説(音楽評論は含まない)は、全部で684作品!
その中で子ども向けの小説を37作品書いています。
半分以上が『銭形平次捕物控』なので、
子ども向け作品は、全体のたったの約5%しかありません。
しかし、そのひとつひとつが、子どもたちがワクワクするような作品ばかりなんです!
明治から昭和にかけて、国内外問わず、多くの作家が科学小説を執筆してきましたが、
『太郎の旅 月世界のたんけん』は科学とファンタジーを交えた作品で、
今回の企画展では、「科学」の部分に焦点をあてて紹介しています。
(出来ることなら、ストーリーもまるごと紹介したかった~!!!)
小説の登場人物の太郎と花子が、科学者の伯父さんと月を旅するという内容。
胡堂は、登場人物の会話の中で、たくさんの科学の知識を散りばめています。
例えば・・・
月までの距離は…? 月の一日の長さは…? 光の速さは…?
どうして月はうさぎの模様になっている…?
大人でも「あれ?どうしてだろう?」と、興味をそそられるような内容ばかり!
胡堂が巻頭で「決してでたらめは書かなかった」と言っているように、
科学の正しい知識を、物語を通して子ども達に伝えているので、
小説なのに、理科の教科書を読んでいるようです。
発行された単行本は、1ページに可愛らしい4枚の挿絵があり、まるで絵本(^^)♪
胡堂は、巻頭に「これだけ豊富に絵の入ったものは、日本にも西洋にも類がありません、
この点だけは誇りとして居ります」と言っています。自信作なんですね!
挿絵は、太田雅光(おおた まさみつ)という日本画家が描きました。
登場人物の表情がとても豊かに描かれていて、とってもかわいいんですよ!
科学の事柄については、分かりやすい「図」として見る事もできます。
胡堂は、子ども達が生きて行く時代、つまり未来は、
科学の進歩によって、より良い世界になっていることを願うとともに、
それには科学を扱う人の心が豊かであるべきという訴えを、作品に込めていると思います。
胡堂の科学と現代の科学を比較しながら、
昭和期に想像した月世界への夢をお楽しみいただき、
新たな胡堂作品に触れていただければと思います!お待ちしております。
(いっぱい書きすぎました。読んで下さりありがとうございました!)
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企画展『胡堂が夢見た月世界~太郎の旅 月世界のたんけん~』
開催期間 ~3月15日(日) 休館日は毎週月曜日
入館時間 9:00~16:30(入館は16:00まで)
企画展は入館料(一般300円、小中高生150円)でご覧いただけます。
同時開催 月の写真展(ギャラリーで開催中!)
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2015.2.6 sakuyama